INTERVIEW
小学校4年生から始めたスピードスケートを、高校3年生までの9年間続けた。小学校の授業もスキーではなくてスケートだったし、何より県営スケート場が近かったのもある。中学校の時は、スケート部は冬場しか活動しなかったから、夏場は陸上部に在籍はしていたけれど、サボっていたなぁ(笑)冬は真面目にやっていたよ、もちろん。スピードスケートの競技人口が少なかったから、県大会への出場は直ぐだった。インターハイとか国体に出れる競技でもあった。
不来方高校への入学を決めたのも、スピードスケートがあったから。まだ開校して間もない学校だったから、いろんなことを体験できた。先生たちも熱かったしね(笑)そんな中でも1番大変だったのは、【遠泳】。あれは、きつかった。途中でリタイアすることもできたけれど、体育科なのにそれはしたくない意地とプライドもあって、最後まで泳ぎ切った。他は、文化祭ではバンドをやったりもして、高校時代を謳歌していた。本当に楽しかった。
東京商科学院(現在の東京商科・法科学院専門学校)という専門学校に入学。“ショウカ”って“生花”じゃなくて“商科”の方ね。経理系の資格をそこで学んで取得した。店を持つためではなくて、特にこれをやりたいという夢もなく、なんとなく銀行とか金融系に勤めようかと思っていたから。でも、結局は勤めずに最初は“農業”を始めた。実家が花巻市で土地があったから、そこで切り花の生産を始めた。その時に親戚がたまたま東京で鉢花や観賞用の仕入れをしていて、それに一緒に付いていくようになって、自分も東京の市場へ行くことが増えた。そうしたら、こっちでは見られない、いろんな種類の植物を見ている内に、生産よりも販売の方に興味がわいてきた。切り花の生産って色んな種類を作るとなると、広大な面積やハウスが必要になる。そういうのもあって、生産は1年でやめて販売の方向にシフトを変えた。
初めは、園芸だけでやろうと思って、盛岡市にリールを開店した。だけど、仕入れも手競りも分からないままで始めたから、最初は花を買えなった。当たり前だよね、“素人には物売らないよ”っていうのは。昔からの馴染みだって当然あるし、何も学ばずにひょっこり現れた新参者にはね(笑)
でも悔しかったから、市場に行きながらその場で学んでいった。競りの時に使う手競りのルールなんかも。当時は、今はもうないけれど北上市の花市場まで行き、東京の市場で仕入れが出来なかった花を仕入れた。競りで色々買えるようになってくると、市場の人からも“こういうの入ってるよ”と声を掛けられるようになり、仕入れが楽にできることが増えていった。
あの当時は、ガーデニングが流行し始めたことも手伝って、一気に売上が上がった。でも、自分もまだまだ浅はかで、経営のノウハウ、花を売ることに対してのノウハウも含めて、ちゃんと学んでいなかった。だから、ブームが去っていくのと共に売り上げも落ちてきたから、一度このリールを閉めてしまった。そこで今度は、百花のハウスを滝沢に建てて、青山町の朝市で花を売っていた関係から、田楽茶屋さんと知り合って、「滝沢の商工会と青年部に入らないか?」と誘ってもらった。前のリールの繋がりもあり、仕事がある程度入ってくるようになって、利益がやっと出せるようになった。そこで、改めてこのリールを再開させた。その頃には、青年部の部長をやっていた。こうしてみると波乱万丈だなぁ(笑)店をつぶしたりまたやってみたり。
切花を扱う花屋って、冬場に売る花が無くなってしまうんだよね。シクラメンのある12月までは良いけれど、12月~3月は閑散期で、収入源がなくなる。3月からは卒業・入学、進学・異動でまた増えるけれど。だから、その間の売上を作るためにクリスマスローズの生産を始めたんだよね。だけど、まだまだクリスマスローズの新事業は赤字だね。クリスマスローズのような宿根草(しゅっこんそう)は、1度植えてしまえば、そこの庭には植えっぱなしになる。反対に1年草だと、時期を終えた苗を抜いてきれいに整えて、また新しい苗を“購入”して植え直す。だから、宿根草は、売る側としてはリスクが高い。毎年売れるかと言ったら、ある程度植えた人は買わなくなるし、クリスマスローズは10年以上は咲くからね。株も増えて大きくなれば“買う”機会がなくなってしまう。そこで、クリスマスローズを改良して下向きを横咲きにしたり、品種改良の多彩さに魅せられたのもあって、今もなおクリスマスローズに投資しつつ、まだ投資が続いている状態だなぁ(笑)だから、クリスマスローズのプリザーブドフラワーも、そろそろ本格的に始めようと思って動いている。ただ、3月~4月に収穫して薬剤に漬ける一連の作業と、卒業・入学シーズンの繁忙期が被ってしまっている。でも、今年こそはチャレンジしたいと思っている。
加えて、クリスマスローズの最大の難点は、3年経たないと花が咲かないこと。ホームセンターで売っているクリスマスローズは、花が咲く前の状態で売っている。それゆえに、実際に咲いた花の色と購入した時のPOPなどに貼ってある花の写真と色が違うという事が結構ある。そうなると、せっかくその色の花を楽しみに買ったお客さんを、がっかりさせてしまうことになる。だからうちでは、3年たって花が咲いた状態のものしか売らない。お客さんが喜んでくれるのが1番だからね。
これまで商工会青年部長、理事、観光協会理事などに携わってきて、滝沢には「観光地」といえるものがないとずっと思ってきた。だから、それを作ってみたい。クリスマスローズや他の草花で創った庭、近くにはドッグランなんかがあっても良い。イチゴの摘み取り体験や、農業体験のようなコーナーがあっても面白いだろう。もちろん飲食コーナーも。地元の食材を使ったものや、地元でしか食べられないメニューを創り出して提供するのも面白い。そういった自然に触れ合えるような観光地、テーマパークが欲しいよね。スマートインターもせっかくできたことだし、土地の問題とか色々あるから、簡単にはいかないだろうけれど、「これが滝沢だ!」っていう観光地を作るのは面白いだろうね。夢のままじゃなくてさ。
自分の店の事でいうなら、ハーバリウムの体験教室は再開させたい。コロナで今は自粛せざるを得ないけれど、好評だったから。そんなとこかな!あとは60歳で引退、これが理想(笑)